バイリンガリル児・発達遅滞、発達障害を患わっている子供でもバイリンガリズムは可能だよ!

発達遅滞、発達障害を患わっている子供たちは周りと比べて言語発達が遅れていたり、言語能力が低いために「言語を一つ以上教えると混乱する」などのアドバイスを聞いたことありませんか? バイリンガルの言語療法士がこのような考えの間違えを指摘し、最新の研究結果を分かりやすくまとめてみました。


以前ダブルリミテッド・セミダブルは間違っている!?の記事で書いたように、昔はバイリンガルリズムに対して否定的な考え方をしていた教育者や研究者は、バイリンガル児の家族に「言語混乱が起こらないように一つの言語に絞ったほうがいい」というアドバイスをよくしていました。しかし、家族やコミュニティーの人達が第1言語が主に使われていた場合、一番使われている、家族やコミュニティーの人達が一番得意な言語インプットを無くし、基礎言語の能力の低下、人生の間一番長く一緒にいくれる・人生の助けをしてくれる家族や周りの人達と上手くコミュニケーションが取れなくなるという悲劇を巻き起こしてしまいました。

バイリンガルズムと発達遅滞・発達障害を患っている子供の研究結果では4つのポイントでまとめられています。

  1. バイリンガルズムは言語発達遅滞や言語発達障害を招いたりしません。一つの言語に絞ることで発達遅滞、発達障害は治りません。

  2. 言語発達遅滞・言語発達障害を患っている子供でも2ヶ国語以上習うことはできます。

  3. 第1言語(L1)と第2言語(L2)の能力はそれぞれの言語経験、言語環境と言語発達のサポートによって強く左右されます。

  4. バイリンガルとして育った、発達遅滞・発達障害を患っている子供たちは自分の言語能力を最大に生かすためには第1言語と第2言語でのサポートが必要である。

構音力(正しい発音ができる)、構語力(語彙を聞いてわかる、言える)、構文力(文章を正しくその言語の文法に沿って作成できる)に問題がある子供はもちろん、高度の難聴障害がある子供でも、2ヶ国語以上を使えることができます。吃音症を患っている子供でも、バイリンガリズムは症状を悪化させることはない。治療の妨害にもならず、治療期間を長引かせたりしない。

認識力やソーシャルスキルの問題がある子供でも、バイリンガルとしてのスキルを育成できる。例えば、バイリンガルで、ダウン症候群の子供を研究した結果、言語力は第1言語しか使わないダウン症候群の子供たちと大差はなかった。さらに、第1言語の構音、構語、構文のスキルを第2言語を使っているときに活用していたことも分かった。この結果によると、バイリンガルのダウン症候群の子供のほうが、メタ言語意識(言語に対しての自覚的知識ー言葉を話す・聞く能力に対しての自覚)が長けていることが判明した。

自閉症スペクトラム症候群(ASD)の子供を対象とした研究もあります。Peterson, Marinova-Todd, &Mirenda (2o12)の研究では、バイリンガルでASDの子供と、第1言語しか喋らないASDの子供たちの、第1言語の語彙(その言語の根幹部分をなす語の集まりを指す語)スキルには大差がなかったことが判明した。Ohashi et.al(2012)の研究ではバイリンガルでASDの子供と、第1言語しか喋らないASD の子供の言語発達段階(マイルストーン)とAutism Diagnostic Obervation Schedule (ASDを診断するために使われる検査)のスコアを比べたところ、また大差はなかったことが判明した。研究結果からわかるのは、発達遅滞・発達障害を患っている子供でも、バイリンガルの環境は子供のコミュニケーションスキルに悪影響は生じない、ということです。

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Source:

Guiberson, M. (2013). Bilingual Myth Buster Series: Language Confusion in Bilingual Children. Perspectives of ASHA Special Interest Groups, 20(1), 5–14.

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