バイリンガル児の強い味方ーLanguage Alternation (ラングェジ・アルターネーション)

今回はバイリンガルあるあるのLanguage Alternation(ラングェジ・アルターネーション)を紹介します。Language Alternationはバイリンガル児が文章の区切り、または文章内で第1言語、第2言語の切り替えをする現象です。この現象は構文(Syntax)のルールに基づいていて、言語発達遅滞や障害のサインではなく、バイリンガル児としては普通の現象なのです。


バイリンガルマシーン!?バイリンガル赤ちゃん・幼児の不思議

知っていました?赤ちゃんは言語を獲得している過程で、まず母国語に重要な音(音韻)のパターンを認識することで、言葉を覚えていく。この能力はどの言語でも通用するが、必要とされない情報・音に対しては赤ちゃんの注意が和らいでくる。なぜなら、どの音も一緒の程度に注目をしてしまうと、どの音が言語に必要となるのがわからなくなるため、永遠に言語を獲得できなくなるから。バイリンガルの環境で育っている赤ちゃんの研究結果では、第1言語、第2言語の音韻、リズム感などの言語の特徴に注意を持ち、分類できる力をもっていることが判明した。なので、人間は最低2ヶ国語は覚えられる能力が潜在的にあるのかもしれません。

バイリンガル幼児を対象とした研究でも、興味深い研究結果が出ています。たとえば、フランス語と英語(片親が一つの言語を選び、その言語を子供に集中的に使っていた)を喋る家庭を観察した研究では、幼児がフランス語を喋る親とはフランス語、英語を喋る親とは英語を使い、言語を相手に合わせて切り替えることが出来ていた。別の実験では4人のバイリンガル幼児に各幼児の第2言語を喋る、見覚えのない大人と会話をする状況を作ってみた。3人の幼児は会話相手のニーズを察知し、得意ではない第2言語を大人の会話相手と喋っていた。この実験でバイリンガル児は第1言語、第2言語をきちんと分類し、会話の相手、状況により切り替えができることが判明した。

Language Alternation(ラングェジ・アルターネーション)は3パターンある!Code Switching, Code Mixing, Language Borrowing

言語を文章の区切りで切り替えをするのはIntersentential Code Switching(インター・センテンシャル・コードスウィチング)といいます。

例:お母さん帰りたいよう。C'mon Mom、I'm bored.

文章内で起こる言語の切り替えはCode Mixing (コード・ミクシング)といいます。

例:Mom今日学校でSocial Studies の時間でDerrickがso noisyだったの。だからリリーtried my best to focus.

他の言語から単語だけを借りて、違う言語を話している時に使うのはLanguage Borrowing(ラングェジ・簿ローイング)といいますー日本語のカタカナ語はこの現象のいい例です。

例:I love firworks at Omatsuri.(この場合、お祭りは英語、日本語を話している時に両方使われる)

ややこしいこのことに学術分野にやって単語はルースに使われたりするので、とりあえず、言語に切り替えがは文章の区切り、文章内、または単語だけを借りると3パターンあると考えてもらえると分かりやすいと思います。

ダブルリミテッドやセミダブルの恐怖を一番感じる時は自分の子供がCode Mixing をしていたり、Interlanguage(インターラングェジ)の時期(バイリンガル児・第2言語の学習過程パート1で紹介)だと思います。しかし、Code Mixing をしている文章をよく見てもらうと、構文的には主語、動詞、形容詞、助詞が正しく使われているのが分かります。この場合、話している相手が両方英語、日本語を分かっているから、子供が一番楽な話し方を選んで出来上がった文章なのです。でも、第1言語と第2言語の切り替えが追い付かない話し相手にとっては、「なに言っているのか分からない、言語力が欠けている」と誤解を招くことになったりします。

子供が成長するにつれ学業環境、社会から言語力に相次いでPragmatics・ソーシャルスキルなどの獲得も求められてきます。

例:アメリカ社会で挨拶はしっかり目を見てしっかりめの握手をする、日本社会での挨拶はその場相応のお辞儀の角度、目線など

バイリンガル児のスキルが向上すると、Code-Switchingに自分の身振り、目線、言葉使い、相手の期待の憶測などの高度な切り替えもできるようになっていきます。しかし、これも言語環境や経験によるので、そういう環境が用意できない場合、直接教える必要があります。

作者も小さい頃は「言っていることが分からない、日本語が下手」などと言われたこともありました。バイリンガル児は周りに自分と似たような子供は少ないため、なにが「普通」なのが分からなくなり、大人や友達からの何気ない指摘で自信を無くしたりします。Code-mixingが気になったら、まず現象を理解してもらうのと、会話相手の切り替えが追い付かないとしっかり伝えることが効果的だと思います。無理にやめさせるのではなく、話し相手、言語環境を選ぶように教えてあげてください。

例:~君、日本語と英語の切り替え早いね、でも、お母さんそんなに早く聞き取れないから、もう一回いってね。英語でも、日本語でもいいよ。


このトピックについて思ったこと、または質問があれば是非インスタなどのSNSで「コメントやDMをください!次は「発達に問題がある子供とバイリンガルズム」のトピックについて書きます。お楽しみに!


Source: Brice, A. (1997). Code Switching: A Primer for Speech-Language Pathologists. Perspectives on Communication Disorders and Sciences in Culturally and Linguistically Diverse (CLD) Populations, 3(1), 8–10. https://doi.org/10.1044/cds3.1.8

Guiberson, M. (2013). Bilingual Myth Buster Series: Language Confusion in Bilingual Children. Perspectives of ASHA Special Interest Groups, 20(1), 5–14.


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