バイリンガル児言語収納・言語の相互交流セオリー(理論)

今回はバイリンガル児の言語収納・言語の相互交流セオリー(理論)を3タイプ紹介します。難しそうですがどのセオリーも、基本は第1言語と第2言語がどうバイリンガル児の脳内で収納されてるのかと、どのように第1言語と第2言語が脳内で相互交流しているかの考え方を表しています。

  • Separate Underlying Proficiency (セパレート・アンダーライング・プロフィンシー)

  • Common Underlying Proficiency (コムン・アンダーライング・プロフィンシー)

  • Interactional Dual Systems Model(インターアクチュアル・ドゥアル・システムズ・モデル)→ **一番最新のセオリー**


Separate Underlying Proficiency (セパレート・アンダーライング・プロフィンシー)

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Cummins・カミンズ(1981)の言語学習セオリーの研究文献レビュー(過去の研究結果を読み、まとめる)によると、Separate Underlying Proficiency (セパレート・アンダーライング・プロフィンシー)では第1言語と第2言語はバイリンガル児の脳内で別々に収納されていて、相互交流はない。このセオリーを信じていた学者は言語の収納が上手に行われてないと、【Language Confusion(ラングェジ・コンフュージョン)言語の混乱】やダブルリミテッド・セミダブルなどのことが起こると考えていました。


Common Underlying Proficiency (コムン・アンダーライング・プロフィンシー)

Common Underlying Proficiency.PNG

Common Underlying Proficiency (コムン・アンダーライング・プロフィンシー)セオリーの場合、第1言語と第2言語相互交流があるため、言語能力の成長は第1・第2言語、でシェアされる。Cummins(1981)は第1言語、第2言語、学力レベル(読書力、算数レベル、言語力)の関係性の文献レビューを行った。Cumminsはバイリンガル学校の子供たちは第1言語の学習を続けていても、第2言語の習得に問題はなかった研究結果に目を付けた。さらに、バイリンガル学校に通っていた高学年の児童は第1言語能力を使って第2言語を学習していたという研究結果もあった。この過程で、第1言語の成長は第2言語に支障を与えるのではなく、ポジティブな影響があると立証した。大事なのはどの言語でも良い言語モデルと言語経験であると説明している。


Interactional Dual Systems Model(インターアクチュアル・ドゥアル・システムズ・モデル)

International Dual Systems Model.PNG

Interactional Dual Systems Model(インターアクチュアル・ドゥアル・システムズ・モデル)はバイリンガル児・第2言語学習過程シリーズで紹介したバイリンガル児の研究者Johanne Catherine Paradisのセオリーです。このセオリーでは第1言語と第2言語は別々に脳内で別々に収納されていて、バイリンガル児が必要な時に、第1言語や第2言語の言語力をアクセスできる。現在、バイリンガル児の音韻、語彙、文法の成長の研究結果はこのモデルを立証しています。このモデルの考え方によると、バイリンガル児が第1・第2言語を習い続けていても、セミダブル・ダブルリミテッドになるとは考えにくいのです。なぜなら、各言語がきっちりと収納されていて、ごちゃ混ぜになることはないからです。なので、言語力が弱いバイリンガル児、言語遅滞や言語障害がある子供でも、十分バイリンガルになれる、ということです。そして、必要な時に言語力をアクセスできるので、どの言語の強い言語力はもう一つの言語の成長に役に立つ、ということです。


Source: Guiberson, M. (2013). Bilingual Myth Buster Series: Language Confusion in Bilingual Children. Perspectives of ASHA Special Interest Groups, 20(1), 5–14.


このトピックについて思ったこと、または質問があれば是非インスタなどのSNSでコメントやDMをください。次はバイリンガル児でよく見るCode-Mixing/SwitchingとCross Language Transferを紹介しようと思います!

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